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 オレのいる村には「伝説のたけやり」がある。


 大仰な石造りの台座にショボいたけやりが突き刺さっている、見た目からしてシュール極まりないアレだ。


 しかし、今まで誰も引き抜けた者はいない。


 オレもガキの頃何度か試してみたがダメだった。


 剣とかじゃなくてたけやりなので、カッコ悪いという理由で試さないヤツもいるが、話のネタとして一応試していくヤツが大多数だ。


 だが、それらのすべてが空振りに終わっている。


 もしかして、男には抜けなくて女ならいけるんじゃないか、ということで幼女から婆さんまでありとあらゆる年代の女の人が試してみたが、たけやりは台座に刺さったままだ。


 どうやら性別は関係ないらしい。


 名だたる武芸者や、この世界で名が知れ渡っているような英雄の血を引く者たちなんかも噂を聞きつけて試してみたが、誰にも引き抜けない。


 彼らの大抵の捨てゼリフが「たけやりなんて抜けないところで何も問題はない」だ。


 まあ、農民が自衛のために使ったり、駆け出しの冒険者が何もないよりはマシだろ程度のノリで持っていくお手軽な武器だからな。


 そんなたけやりを相棒にしても一〇年以上が経つ。


 ガキの頃からの付き合いだ。


 理由は言わずもがな、安いからだ。


 子どもの小遣いで買えるというそのコスパの良さはコスパ厨のオレを虜にしてやまない。


 オレもここらでは名の知れた冒険者になったことだし、何年か振りにたけやりを引き抜くチャレンジをしてみようか。


 そんなことを不意に思いつく。


 思い立ったが吉日だ。


 善は急げ、ともいう。


 何故か以上にやる気になったオレは伝説のたけやりが突き刺さっている通称「たけやり塚」まで行くことにした。



 見るものも特産物も特にない辺鄙な村ではあるが、伝説のたけやりのおかげで観光客は結構来る。


 そのおかげで、村の規模にしては結構な金が集まる。


 この村はこの周辺では裕福な方だ。


 オレが現在進行形で塚に向かう途中にも「たけやり、抜けなかったな」とか「たけやり如き抜けなくても全然悔しくねぇよ」みたいなぼやきが次々に聞こえてくる。


 たけやり塚にたどり着くと、そこには案の定長い長い行列ができていた。

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