表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天に愛された少年の物語  作者: みかんちゃん
第1章 幼少期
8/16

第8話 突然の別れ

 ライラが目を覚ましたのは戦いから四日たった夕方自室のベッドであった。ライラは身体を起こしたが特に倦怠感も無くぼんやりとしながら最後に戦ったシーンを思い出していた。

 頭の方も徐々に起きてくると、ふと右手に触れる感触があり見るとメアがライラの手を握ったまま椅子に座った状態でベッドに上半身のみ預ける形で寝ていた。


 『もしかして、ずっといてくれたの?』


 ライラは自分にかかっていた毛布をメアの身体にかけると起こさないように優しくメアの頭を撫でた。


 「……ライ君、目を覚ましたの?」


 「うん、ついさっきね」


 メアはいろんな感情が溢れ出し涙や鼻水で顔がぐしゃぐしゃになりながらもライラの胸へと飛び付いた。


 「ライぐんじんじゃゔんじゃないがどおもっだよ」


 「ごめんね、心配させて。どうやらあの力を使うと三日三晩意識が戻らなくなるみたい」


 メアはしばらくライラの胸の中で泣くとやがて落ち着きを取り戻した。


 「お腹空いてない?」


 「そういえば、少し空いてるかも」


 「じゃあ私が何か作るよ。出来たら呼びに来るね」


 メアは立ち上がり料理を作りに部屋を出て行った。

 部屋に一人となったライラは少しだけ横になろうと思ったがあまりの静けさを不信に思いベッドから飛び跳ねてメアの元へ向かった。


 「僕のお父さん、お母さんは?」


 料理の準備をしていたメアは手を止めライラの方へ向き直した。


 「昨日ね師匠、城に戻らないとって言って村を去って行ったの。それでおじさんとおばさんは護衛としてついて行くことになって私はライラの事を任されたの」


 「……そうなんだ。何か言ってなかった?」


 「うんと、ライラなら明日には目を覚ますから大丈夫よっておばさん言ってた」


 「そっか、師匠は何も?」


 「うん、私も昨日突然聞かされたから。最後、別れ際に会えたんだけどその時に手紙を受け取ったの。トールには個別で渡したからこの手紙は二人で読みなさいって。今読んでみる?」


 「料理やっぱり手伝うよ。ご飯食べながら二人で見よう」


 二人は課外授業でサバイバル訓練も受けていた為、慣れた手つきで簡単な料理を二、三品作った。お皿へ盛り付けをし食卓へ並べると三日間何も食べていないライラは急にお腹が空いてきた。


 「それでは手を合わせて」


 「「いただきます」」


 二人はしばらく黙々と食事をとった。テーブルの上の料理が半分程までに減ったところでライラの方から切り出した。


 「じゃあ手紙読んでみようよ」


 「うん、じゃあそっちの椅子に移動するね」


 メアは手紙を持ちライラと横並びに座って一緒に手紙が見られるよう席を移動した。

 そして封を切り手紙を二人の真ん中になるようテーブルの上に置いた。


ーーライラ、メア

 突然、何も言わず去ってしまって申し訳ない。

 しかし、君達を教えて三年が立ち、もうこれ以上私から教える事はない位成長した姿を最後に見られて良かったと思っている。

 本当はもう二、三日滞在する予定が急用により私は戻ってしまうが十五歳までは鍛錬を欠かさず行う事。そして十五歳になった時、この手紙を持って私のいるファウスト城を訪れなさい。君達にはもう少し勉強に励んでもらうよ


 ランスロット・サーザンド


 「また会えるんだね、師匠に」


 「うん十五歳になったら行こう。ファウスト城に」


 ライラとメアはいつの間にか自然と手をつないでいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ