第2話 最初の教え
ランスは船で別の大陸に移動中クラーケンと遭遇した話や別大陸に着いた後、入り口に戻されてしまう不思議な森の話など見て来た世界の話をしてその話は深夜にまで及んだ。
話混んでいるうちに夜も遅くいつの間にかライラはテーブルに頭を伏せて寝てしまっていた。
ライザは机に寝そべっているライラを抱きかかえ自室のベッドへと運ぶと再び席へと戻った。
「おっと、すまない。つい話し込んでしまったな」
「いや、いいんだ。あいつ寝てるのに運んでる時、笑ってたよ。よっぽどランスの話が面白かったんだろう。それよりも本題に入ろうか」
「ああ、実は今回はライラの家庭教師として国から私に出された任務なのだが私が教育係でも構わないか?嫌なら別の人物を手配しよう」
ライザは知り合いの方が安心出来るとコップに入った酒を少し喉に通すと無言で首を横に振った。それからライザとランスは互いのこれまでの事を楽しそうに話した。
翌朝、ライラは自室に差し込んでくる光によって目を覚ました。寝ぼけ眼で窓の外を見ると木刀を持ち素振りをしているランスを発見した。
ライラはベッドから飛び降り、慌ててランスの元へと向かった。ライラがこちらに来た事に気が付いたランスは素振りを止め朝の挨拶をした。
「ライラ、おはよう。よく眠れたかい?」
「おはよう、よく眠れたけど話の途中で寝ちゃったから船に乗る所までしか聞けなかったよ」
「……それ、話の始めじゃないか」
「そうなんだよ、最初しか聞けなかったから又話してよ。いいでしょ?」
ランスは旅の話はまた夕飯の時にでも話をしてやるといい、それよりも伝えたい事があると家を指差して戻ったのでライラは後に続いた。
食卓に戻ると朝食が用意されていたので食べながら話をするからライラは食べるようすすれられ、朝食を取る。
「さて、今日から私は君の教育をする事になった」
「ーーやったぁ!何を教えてくれるの?」
「主に剣術と世間の知識、それから魔法だ」
「魔法!?僕にも魔法が使えるの?」
「ああ、だがライラ君はまず体を鍛えなければならない。言いたい事は分かるだろう?」
ライラは悔しそうに黙って頷いた。同年代、いや赤子を除いては村で一番華奢なのは自分なのだと自覚していたからだ。しかしランスは更にこう続けた。
「君はこれからこの村で一番強くなるよ。私の言いつけをきちんと守る事ができたらね」
「はい、師匠」
ランスは師匠と呼ばれ目を丸くしたがそう呼ばれるのも悪くないと微笑した。
そしてランスはこう告げた。
「では師から最初の教えを言うよ。もしこれから先生きていく中でどうしても迷ってしまった時、そんな時は自分の思うままに行動しなさい。」