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天に愛された少年の物語  作者: みかんちゃん
第1章 幼少期
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第1話 八年ぶりの訪問者

 少年ライラは他の人とは違った力を持っていた。

 しかしライラの育ったスターテ村ではライラが力を使う事はなかった。

 何故なら使う必要がこれまでなかったのだ。


 ライラは現在八歳の村で唯一黒い髪、青い目をした少年で同年代よりも華奢な少年であった。

 しかし、華奢だから力を使う機会がなかったのかというとそうではない。

 実はスターテ村は少数民族ながら武装民族と呼ばれライラと同年代の八歳ともなると本気で岩を殴れば砕く事も可能なほど筋力が発達する民族であった。

 それだけにライラが人より華奢な事が珍しかったし、ライラ自身もそれにコンプレックスを抱いていた。 


 スターテという村は王都の中心からおよそ百キロ以上も離れた場所に位置しており道中に山を幾つも越えねばならない為、滅多に人が立ち寄る事もない程、偏狭な場所に村が存在していた。

 そんな偏狭な地へとおよそ八年ぶりに訪問者がやって来る事となる。


 ライラは同年代の子達と村の入り口付近の広場で追いかけっこをして遊んでいると茶色いマントを纏い、黒い布で目以外は覆っている村人ではない人物に目が留まった。

 ライラは怪しい人物の方へ向かっていき、声をかけた。


 「ねえ、一体どうしたの?」


 「君のお父さんを探しているんだよ」


 怪しい人物はそういうと顔を覆っていた布を外し顔を見せ笑顔で自己紹介をした。

 

 「実は八年前にここに来た事があって、八年後この村にまた来るって約束を君のお父さんとしたんだが君はまだ産まれたばかりだったからそんな事は知らないよな。」


 一人で話して一人で笑っている変なおじさんだなとライラは思っていた所にライラの後ろから父親の声が聞こえてきた。


 「おー本当に来るとは思わなかったぞ、ランス久しぶりだな」


 「私は約束した事は守るぞ、ライガよ」


 ライガは突っ立っている自分の息子に気付き、ランスと呼ばれる緑の短髪に緑の目、体格のよい顎鬚を少し生やした二メートルはある大型の男の自己紹介を始めた。


 「ライラ、このおじさんはなランスロット・サーザンドと言って百キロ以上も離れた遠い国の実はお偉いさんだ。だけど困った事に旅好きな奴でこうして世界中を放浪してたまにこの村にも来るんだよ。」


 ライラは父親がランスと呼ぶ人が旅人であるという事に子供ながら興奮を覚え目をキラキラと輝かせた。


 「お父さん、僕ランスおじさんのお話たくさん聞きたいよ!」


 ライラの興奮している様子にランスはライラの頭に手を載せるとクシャクシャッと髪の毛をかき乱し


 「後で私のとこへ来ると良い。たくさん話をしてあげよう」


 と言うとライガとランスはライガの家へと向かった。

 ライラは旅の話に胸を膨らませながら二人の後姿が見えなくなるまで目で後を追っていた。


 それから、ライラは同年代の子供たちと夕方過ぎるまで広場で遊び家へと気分を躍らせながら戻って行った。

 正直、ライラには旅の話を聞くのが楽しみで遊びは二の次になっており夕方になるのが待ち通しかった。


 家に着くと夕飯の用意ができており、ランスが訪問している事もあり食事はいつもよりも豪華であった。

 全員で手を合わせ食前の挨拶を済ませ、ほんの少しの間食事を楽しんだ後、ライガがランスへ食事をしながらでいいので旅の話を聞かせてくれとお願いすると、ライラは待ってましたとばかりに目を輝かせた。


 「よし、じゃあまずはこの大陸を出る時の海の上でクラーケンと遭遇した時の話からしようか。」



 



 

  

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