第9話◆主食ポコチン、春の競作祭に参加する◆
深夜、新渡戸寅ノ助は自らの書斎に閉じこもりパソコンを眺めていた。
天才作家、新渡戸寅ノ助は何をしているかというと『小説家になろう』の春の競作祭に出す最新作を模索しているのである
主食ポコチン先生…知っての通り天才作家新渡戸寅ノ助のこのサイトのペンネームである。しかしいまだかつてこのサイトで新渡戸の作品を正当に評価されたことはない。新渡戸はサイトを通して本当の自分をさらけ出しているのだがなかなか凡人には理解出来ないようだ…
そして新渡戸が今一番欲しい物は芥川賞なんかではなくこのサイトでの評価…本当の自分…主食ポコチンを評価して欲しい…ただそれだけである。
「………」
「………」
推敲に推敲を重ねた作品だった…最高傑作と呼べる作品だった…新渡戸寅ノ助という天才作家本人が認めた作品だった…
−−−−−−−−−−−名前:あ
あなたの作品は不快極まりないです。真面目に投稿している人達への侮辱です。投稿やめてください
文章:★★☆☆☆
作品:★☆☆☆☆
出版:買わない
−−−−−−−−−−−名前:ダヤン
死ね!
文章:★☆☆☆☆
作品:★☆☆☆☆
出版:買わない
−−−−−−−−−−−名前:メタカツ
僕は『東海風俗渡り歩き絵巻』という作品を投稿しているのですが。流石にアナタほど酷い作品じゃない!僕の作品みて勉強してみたら?
文章:★★★☆☆
作品:★★☆☆☆
出版:買わない
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数々の批判評価…さらに投稿から五分もたつと更に多くの読者からの批判評価が届く…
「………」
「ふっ…下等な凡人には私の作品は理解する事は出来ないだろうな…ふっふふぃ−!」
こうは言っているものの新渡戸は気が狂いそうであった。今回の作品は絶対的自信を持っている…いくら下等生物といえどもこれだけの批判…新渡戸のプライドが傷つくのも事実…膝はカタカタと震え血管が浮き出てくるのが自分でもわかる…この作品を批判した下等生物共に殺意が芽生えた瞬間である…
現芥川賞受賞作家新渡戸寅ノ助が絶対的自信をもって春の競作祭に出した作品…ここに紹介したいと思う。
題名:『精子にマヨネーズをかけてみた!』
作者:主食ポコチン
ドビュッシー!
「ああ…みんな死んでいくよー!」
ドビュッシー
「あっ隣のせいじ君も死んじゃった−!」
ドビュッシー
「みんなみんな酸で溶けてくよー!頑張れ!子宮までもうすぐだ!」
ドビュッシー
「え−みんなしんじゃった?怖いよー!僕ひとりじゃやだよ−!二億匹もいたのに死んじゃった−」
ドビュッシー!
…以下省略
皆さんこの小説どう思いますか?ちなみにメタカツはこういうのは大嫌いです!でも新渡戸はこの作品のテーマを『自殺』だといっております。以下、作品の後書きです。
後書き:
自殺は年々増加する一方である。自殺の理由も様々…ある人はイジメを苦に、ある人は生活苦から、ある人は仕事がいやで…理由は様々であるがどの人達も共通して自己嫌悪に陥っていることは確か…
今の世の中ストレスもさらに増えこれから自殺者が増加するかもしれない…
『自分なんて死んだ方がいい…自分は未完成な人間なんだ…』
そう思っている人もいるかも知れない…でも考えて欲しい。君たちは超エリートである。一回の射精ででる精子は二億匹とも言われている。そのたった一匹が子宮にたどり着き受精卵となるのだ。すなわち君達は
1/200000000
の戦争を勝ち抜いてきた超エリート精子なのだ。今の日本の人口は二億もいないが言ってみれば君達は日本一だ。この世に意味のない人間などいない…それが私の結論である。
主食ポコチン
皆さんも春の競作祭に参加してみてはいかが?