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第6話◆ファミマのなかまさんが好きで好きでたまらない!中編◆

「人の遺伝と感情の関係とは…であるからに…」


講義室には新渡戸の感情の何もこもってない講義が始まっている。正直クッッソつまらん!案の定学生等は私語をしたり、眠ったりしている。陸奥モコ道も例外ではない。モコ道は講義など上の空でなかまさんの事ばかり考えている…


『あの子はひょっとして俺のことが好きなんじゃないのか?』


何の根拠でそんな事を思うのか?

『間違いない…好きに違いない…だっていっつも袋持ちやすいように丸めてくれるし…俺に好意がある証拠だ!』


…学習能力のない男である。それは決まりで全ての客にやってることだと言ってなかったっけ?ポジティブもほどほどに。


『更にいつもお釣りを渡すとき俺の手に触れてくる!あれ絶対意識してるよ!間違いない!』


いや、間違った解釈です。たまたま手が触れただけです。ポジティブもほどほどに…


『あの潤んだ瞳…いつも俺のことを見てくる…彼女にしてほしいな〜って気持ちが伝わってくる』


どうしようもない男である。そしてモコ道は妄想に入り自分の世界に閉じこもった。だが邪魔する者が一人…モテない同盟メタカツである。


「あの〜モコ道さん?」


「………」


「あの〜すいません…ちょっといいですか?」


「………」


「あの…沢尻エリカはいつ紹介してくれるんでしょうか?」


「うっせーなー!今、妄想のいいとこなんだよ!ちょっとは気をつかえ!沢尻エリカ?まだ謹慎中だぁ!」


講義室にはモコ道の怒鳴り声が激しく響いた。学生等は一斉にモコ道を冷ややかな目で見たことは言うまでもない。だが講師である新渡戸は気にもせず講義を続ける。そしてモコ道も気にもせず妄想を続ける。

講義室内は静寂を取り戻す。メタカツはぶつぶつ独り言をいい下を向いている。もう誰もモコ道の妄想を邪魔する者はいない…そう思われたのだが


講義も中盤にさしかかった頃。新渡戸の発言によりモコ道は我を失うのだった…それは新渡戸のこの発言からである。


「人の恋愛感情など遺伝子レベルで考えれば種の保存以外ない!」


新渡戸が淡々とした口調で言う。誰も聞いてはいなかった。ある一人の学生を除いては…モコ道である。さらに新渡戸は講義を続ける。


「人を好きになる…それは子孫を残したいと言う本能以外なにものでもない!」


モコ道はブルブルと震え、血管が浮き出てくる。


「幸せにしたいとか抜かす輩は本心ではない!セックスして子供を作りたいだけだ!人間なんてそんなものだ、純愛など存在しない!」


「………」


「そもそも人はより優秀な遺伝子を残そうとするルックス、学力、体力、それしかないのだ!君たちは性欲の固まりの下等生物だ!」


「………」


「でも恥ずかしいことではない!それが人間なのだ!」


「………」


「愛など存在しない!」


「違う!!!」


怒鳴り声が室内に木霊する。陸奥モコ道である。モコ道は立ち上がり拳を握り締める。顔は真っ赤に染まり今にも血管が切れそうである。学生等は何が起きたかも分からずソワソワと落ち着きがない…


「俺の…俺のなかまさんに対する感情は純愛だ!セックスだけが目的てどういうことだ!」


新渡戸は呆れて物が言えなかった。別にそんな事を言ったつもりではない。だがモコ道にとっては自分を否定されたも同然だった。


「違う!俺は…違う!本気で好きになったのに!俺は…俺は…俺はあああウワァァァァーーー!」


モコ道は奇声と共に逃げ出すように教室から出た。学生は皆、状況が理解できずポカーンとしている。そして新渡戸にいたっては何事もなかったかのように講義を続ける。メタカツは…気にもしていないようだ、彼にとっては沢尻エリカ以外興味が無いのである…



モコ道は走った!初めて女の人を好きになった…それは決して下心ではない純愛なのだ!そう思っていた…

自分は本気でなかまさんの事が好きなのだ…自分の愛は本物だ!そう思っている…







「ハァハァ…」


モコ道は見上げる。そこには緑と白の看板、ガラス張り…そうなかまさんが働くコンビニまで来ていたのだ。特に理由はない…買いたいものもない。ただなかまさんの顔が見たかった。ただそれだけである。そしてモコ道は自動ドアの奥へと進むのである…

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