0.記憶の浮上
………。
………………。
『縁ってのはね、偶然と必然が起こす、一瞬のすれ違いさ。』
何年、何十年と前に知り合った、その人はそう話した。
『あなたに何があって、どうしてここにきたのか、は、聞かない。好きにすればいい。』
いくつの時の事だろう。
自分が、人と違うモノが見えて、違うことを感じて、違うことが聞こえて。
それが人の恐れるモノだと気がついたのは。
物心がついた時、と言えば、聞こえがいいのだろう。
小さいときの話を聞けば、不可思議な話がぽんぽん出てくる。
やれ、蝶々を追いかけて何処かへ行っただの、何もない空間と話していただの、行方不明になってひょっこり帰ってきただの…。
おかげで親戚一同から『アレな子』認定を食らった親の苦労は計り知れない。
その親とも、ある事件をきっかけに、今は疎遠になってしまったが。
私には、忘れられない事件が三つある。
『死神遭遇』
『異世界トリップ』
『境界線の彼方』
そして私は直接関わらなかったものの、その後伝説を作ってしまった事件。
『この世に在らざるモノ』
この四つだけでなく、大小合わせれば、私の毎日は波乱続きだったといえる。
そして…その能力は、少しずつ薄れていった、ある日を境に。
記憶を頼りに、話を書こうと思ったのは。
風の便りに、伝説事件の話を聞いたから。
書き置きなしでスタート。
さて、いつまで続くかな…。




