激震
数日後、須崎は北海道支店に呼ばれた。営業所長を集めてのエリア会議だが、当然圧倒的に根室営業所の売上げは、急速に伸びていた。支社長の玉山は、黒田直近の部下。相当なやり手で知られるが、営業会議の後、支社長室に招かれた。所謂黒田体制の派閥の伝達事項を、須崎に伝える為であった。
「よう、頑張ってるよな、須崎君」
「あ、いえいえ・・まだまだです」
「大鉈を振るったそうじゃ無いか、君成社長派は、今粛清されてかなり本社人事も変わったけど、旭川営業所に屋鍋部長が赴任する人事も発表されたばかりだ」
「え・・屋鍋部長が?」
「ああ、役職は部長のままだが、部長職が営業所長になるのは降格人事。君、エリア長として、がんがん言ってくれよな」
「え・・だって、屋鍋さんが上司でしょう?」
「ふふ・・だから、エリア長を君に拝命する為に、ここへ呼んだ訳だよ。短期間の実績であろうと、君の営業所はダントツの売上を達成している訳だし、つまりエリア長と言うのは、君が、北海道支社の副社長と言う立場になると自覚してくれよ」
「え!」
目まぐるしい人事であった。急速に須崎は、黒田体制の象徴のような大抜擢により、大きく期待されて行く。




