83/399
改革
仏頂面しながら、たまに戻って来た大きな邸宅の自分の部屋に、君成は戻って行った。そこから祖母泰江に電話する君成・・
「そう、分かったわ。明日じゃなくちゃいけないのね?じゃあ、ばあちゃんと一緒に病院に行きましょう」
「うん、頼むよ、ばあちゃん」
こんな具合で、全く急激な動きなど見えていない三代目社長君成は、翌朝3ヶ月ぶりに、重篤な病状だと言う祖父を見舞いに行くのである。だが、この所雄一郎には、気概が戻っていた。何かを成し遂げ、息のある内に自分が築いてきたREC㈱の将来の為に、次々と布石を打っていたのである。
雄一郎は、祖母と見舞いにやってきた君成を仏頂面で迎えた。
「まあ、貴方ったら、孫が見舞いに来てるのに、難しい顔をして、君成も一生懸命会社の事を思ってやってるんだから、見舞いにもなかなか来れないのは、承知の事だわ」
「そうやって・・泰江、お前は何時も君成を甘やかすからだ。毎晩飲みに行ける余裕があるのに、わしの所には顔も出さん。おい、君成・・お前は今回の役員会をどう思ってるんだ?」
「え・・どうって、定例会だし・・」




