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若菜の海  作者: 白木
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改革

 そんな報告すらも会長にしても無かったのかと思う屋鍋であったが、逆にこう言うボンボンだからこそ、屋鍋は彼にとって美味しい情報や、褒め称える賛辞を送って置けば誠に御し易い人物。自分は、人畜無害の瀬田のそろそろの退任と共に、役員に滑り込む事が出来るかも・・そんなこの男の心の内など君成社長には気づく筈も無い。自分しか見えていないのだから・・。


 君成社長には、実は強い味方が居る。それは、孫を猫可愛がりする祖母、泰江であった。対象的に君成の母、郁子は教育にも熱心で厳しく育ててつもりであるが、この祖母泰江が余りにも口出しし、甘やかすので、嫁舅の関係は最悪。この夜も、


「君成・・少し貴方夜の接待を控えなさい」


 びしゃりと言う郁子に、口出しするなと噛み付く君成であった。


「俺だって好きで飲んでるんじゃないよ。仕事なんだから、母さんは口出ししないでよ」

「何言ってるの、倶楽部の女の娘の所に渡り歩くように、家を空けて。そんな事じゃ、お父さんに顔向け出来ないわ。未だに独身って言うのが駄目なのよ、君成」

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