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改革
会長が動いているらしいと言う話だった。役員会に何か動きがあるかも知れないとの事で、瀬田専務にも色々聞いてはいるが、瀬田と言う人物は、ひょうひょうとしていて、学者上がりの男、派閥論理には殆ど興味は無かった。彼からは何も情報は得られず、屋鍋からしきりに情報を集めている最中であった。少し情報が入った。前日の事であった。
「何!じいちゃんが、弁護士の先生を病院に呼んだって?」
全く祖父の見舞いにも顔を出さない君成社長は、そんな情報すら知らなかった。屋鍋は、伝えたい事はそこでは無かったと、眼をくりくりしながら、
「はい・・社長はご存知だったかと・・」
屋鍋は、重篤な病状である雄一郎会長の事は知っている。つまり、遺産相続の話で呼んだのだと想像するので、君成社長への株の譲渡を含め、彼の立場が更に強くなれば、今の役員体制の中で自分の出世も見えて来るだろうから、その事を含めての情報を逆に聞こうとしたのである。それにより、自分の動きも当然変わってくるのだから・・
「知らん・・今日じいちゃんのとこ行って来るよ。役員会の報告もあるしな」




