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改革
「よう、安藤」
須崎は、喜んで安藤を迎えた。握手を交わす二人だが、微妙な温度差が既にある。
「想像以上に寒いな、根室は・・」
「ああ・・俺もここへ飛ばされた半年前には、堪らなかった・・そして、まだ冬を経験してないからな。こっちはマイナス10度になる事もあるそうだ。
「ひぇ・・」
安藤は首をすっこめた。
寮の全員に紹介後、歓送迎会。対照的な進藤主任の顔色は悪かった。少なくても、須崎には協力的に行動して来た。彼は副所長の椅子を狙って、接してきたからであるし、社長派と言われる彼にとっては、飛ばされるなど露ほども思っても居ないことだった。
翌日須崎は、所長室で安藤に、これからの方針を伝えた。
「と・・言う事で、根室漁港に揚がる魚介類と、佐伯さん所有の第二福栄丸、第三竜神丸、第四海生丸の三隻の水揚げの独占契約を貰っている。北海道支社でダントツの売上げが見込まれる」
「これを須崎所長は、たった半年で?」




