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帰郷
「え・・はい。南の方からの発表は通例ですので・・」
黒田の顔が厳しくなった。君成社長は黙ったままである。珍しい顔が居るなと須崎を凝視している程度で、実際会議の進行など儀礼的で重要でも無いと感じている様子で、心ここに無いようだった。
「何勘違いしているんだ?君は。今日の会議は、5月の営業目標で10パーセントのノルマ達成を目標にした、その成績を発表する会議だろう?上位から発表するのが当たり前じゃ無いか」
「あ・・はい。申し訳御座いません」
屋鍋の顔は蒼白となった。君成社長の頬が少しぴくっとなる。会議自体の目的を今悟ったような顔であった。彼が得意としているのは、毎晩のように出歩く夜の接待の場。それがTOP外交であり、社長の仕事なのだと、自分の快楽と自己顕示欲が全てと思っている彼にとっては、言い寄って来るゴマスリ社員しか耳を傾けることなど無いのだ。これがREC㈱の現状なのであった。
「では・・TOP売上率は、100パーセントUPの根室営業所です」
おおっ・・部課長が須崎の顔を見る。どうして、急に?そんな驚きであった。黒田が満足そうに頷いた。




