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帰郷
何故、突然本社に呼ばれたのかも分からないが、会議が始まる数分前に、部課長会議だと言う事だが、滅多に顔を見せた事のない君成社長と、黒田常務が入室して来た。それには、他の部課長も少し驚き顔。部課長と言っても全員揃っている訳でも無いし、会議自体のテーマも余り理解出来ず、この中では課長補佐的な職制の須崎は、末席に座った。
「じゃあ、始めてくれ、屋鍋君」
黒田が言うと、
「背筋を伸ばして!お願いします!」
「お願いします!」
これが、毎年多額のコンサル料を払っている、経営コンサルタントのやり方で、会議での定着した開始挨拶であった。
仁科は、今期の営業成績のノルマの10%UP目標の報告を始めた。どうやら、その報告会議のようだ。
「では、鹿児島営業所から・・」
「待った!何で鹿児島からなんだ?屋鍋君」
黒田が怒鳴ったのだ。




