53/399
変化
「ああそうか、ブリーダーと言っちゃいけないんだ。つまり繁殖用の鳩だね。凄いね。何かこの前ちらっと見た鳩と違って、どっしりしてて体格も立派だねえ」
競翔鳩及び鳩舎を、こんなに見るのは初めてである須崎には、感じたままの形容であった。
「ふうん・・この選手鳩って言うの?どの位遠くの地域から帰って来るのかな」
「遠くは・・鹿児島・・うちのじいちゃんは、下関1300キロレースまでしか参加しない」
「へえっ!そんな遠くから戻って来るの!凄いね」
その言葉は、若菜にとっては嬉しい言葉であったようだ。若菜は続けた。
「じいちゃん、最近は、新潟までしか競翔に参加させない」
「ふうん・・理由を聞いても構わないのかな?若菜ちゃん」
若菜は、少し黙って考えたいたようであるが、
「私が反対した。鳩が帰って来るの待つの辛いから・戻って来れない鳩も一杯居るから」




