変化
今までの木下とはやはり明らかに違っていた。急激に何かが変動し始めたのだ。
向かったのは、佐伯氏の家だった。どうやら、事前に話があったようで、家には、平日だから学校があるだろうに、孫娘若菜が居た。不思議な感覚に囚われながら、この娘が佐伯の家の血筋では無い事を知ってしまった須崎は、複雑な表情をしながら。応接室に通された。
豪華な応接室には、数々の鳩の優勝トロフィーが飾られ、政治家との写真や、有名な北海道出身のシンガーソングライター等と写った写真があった。
「済まんね、日中に呼び出して」
佐伯の態度は、少し前とは全く違っていて、こちらがお客さんのように感じた。
「いえいえ・・この度は佐伯さまのお計らいでニシンの取扱量を増やして頂き、誠に有り難う御座います」
「いやいや・・例年に無く豊漁。これは、タイミングも合った次第だ。礼には及ばんよ」
木下が、その挨拶途中で、
「あ、須崎君、ちょっと向こうの部屋で若菜ちゃんに鳩小屋でも見せて貰ったら?」
「え・・はあ・・」
どう言う意味だ?遊びに来た訳では無かろうに・・須崎はこの場に自分が居るのがまずいのかと頷き、若菜の所に。




