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変化
「何かな・・?」
須崎は、菊野に言われた事を問い直す事は出来ない。ただ、営業会議の報告は副所長である身にとって、彼からあって然るべきだから聞いているのであった。
「あの・・札幌支社での会議のご報告を・」
「ああ・・じゃあ、応接室で・・」
ちらっと、油井が須崎を見たが、甲斐に前日の受注品目の確認を求められたので、机に向かう。
須崎は、応接室に入ると少し遠回しに木下に、こう言った。
「菊野さんの事は、ご存知ですよね、所長。この前俺が知らずに通っていた「菊野」ですが・・店の事じゃなく、女将さんの事」
「あ?小さい町だ。知ってる・・何か?」
「あ・・いえ・・」
それ以上は少し入り込めないものを感じ、次に須崎は、
「会議はいかがでしたか?ノルマの件については・・」
上目で木下は、須崎を見上げた。




