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少女と鳩
部屋には、布団袋と、数個のダンボール箱が無造作に置かれてあった。
男の一人身、そう大きな荷物も無く、1時間程片付けをした後、部屋を改めて見回すと、老朽化の激しい天井の内装は剥げかけていて、ストーブが北国らしく設置されているのを見て、
「ふう・・」
そこで又煙草に火を点けた。
「あ・・」
何かを思い出すと、須崎は出かけて行った。
戻って来た巣崎には、毛布が抱えられていた。その帰りを待っていたように数人の寮の社員達が待っていた。
「やあ、ご苦労様。後で寮の歓迎会やるから食堂に来てね、須崎君」
寮長である、小太りの中年である木下は、何度か出張先で会っている顔見知りだ。ぺこりと頭を下げると、この地の夜の寒さを覚悟した須崎が毛布を買い足して来たのを納得した顔で、木下は自分の部屋に戻って行く。他の数人は初対面であった。