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季節
若菜も一緒に、2台あるタブレットで同時画面を見ながら、双方向通話に加わっていた。
「優君、調べた事、言ってあげる?香月博士に」
「うん!」
香月の笑顔が一瞬に消えた。この5歳の少年が、自分の新血液概論に対する、鋭い指摘をこの時したからだ。
「進化の過程で、枝分かれする新血液概論の中で、A群、C群の論点が未だ未解明ですよね?」
「君は・・この論文内容を理解していると言うのか・・ね?」
若菜が加わった。
「理解していると思います。私はB群とD群の免疫と、順応性への論が未だ未解明だと思っております」
香月は、自分が想像する以上に、とんでもない天才児達が産声を上げている事を悟った。そして、彼は、
「良く分かりました・・君達は、とっくに私等の思念を超えて、香月系の何たるかを理解しているのだと思いました。ただ・・今求めて得る答えではありません。だからこそ、この改良の足を止めてはならないのです。託せますか?いえ・・託したいと思います」




