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季節
「驚きました。ご連絡を頂いてたら、準備をしてお待ちしていましたのに」
「ああ、いえいえ・・ぷらっと寄っただけです。こうして親子が揃うなんてなかなかありませんから、休日の散歩ですし、後でゆっくりと温泉にでも入るつもりなんです。ところで・・若菜さん、思い切った鳩舎の改革を行っているようにお見受けしますが・・」
「はい、流石に香月博士。一目で見抜かれてしまうなんて思いませんでした」
「ははは・・」
海を展望できる喫茶室に座った。香月昇星も父似で、聡明で涼やかな眼をした壮年の博士であった。靖男には、思い出話で盛り上がっている。
「この編成とは、完全に若菜さんが、短距離向きの鳩群と、長距離向きの鳩群の分別を行ったと見ますが・・」
え・・?そうなの?何も知らずに手伝っていた靖男が、少し驚いたように若菜と香月の顔を見た。くすっと昇星は笑った。美弥も慌てて、喫茶室にやって来た。昇星は、美弥とリゾート施設のイベント説明を受けたいと席を外した。3人の会話が始まって行く・・。




