38/399
変化
「いいえ、動きを悟られてはなりません。私の任期は3ヶ月。その間に私はやはり自分の結末をつけ、REC㈱を去る覚悟です。若い有望な社員を育てる為に・・願うならば、どうか須崎君のような骨太の、真に誠実なる若者にバトンタッチしたいと思っております。この意を持ってご協力頂け無いでしょうか?」
強面の佐伯の顔が歪み、滂沱と流れる涙で、しっかりと木下の手を取った。
そんな動きなど全く知らない須崎は、この所うちひしがれていた。
その日、須崎は菊野に突如呼ばれて、日中に根室市内のマンションを訪問していた。マンションはかなり高級そうで、居酒屋の女将にしてはかなり相応に思えないもので、須崎は正直驚いていた。ただ、小料理屋の女将と言うだけで実際彼女の素性など全く知らないのだから、想像を膨らませる事は無い。
インターホンを押すと、派手な洋服を着た女将が出て来た。ロングの髪で、全く夜の顔とは違うあでやかさであったから、尚更須崎は驚いたのであった。
「御免ね、仕事中に呼び出しちゃって」
「あ・・いえ」
「どうぞ・・」
部屋は3DKの広いもので、通されたリビングには高級そうな家具や調度品が並んでいた。




