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若菜の海  作者: 白木
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光芒

「沢木 純が沢木グループを創始した時からじゃわ・・彼の描く未来とは、人だけで無く、人が形成する、家族、村、企業、社会を変える事・・そのどれもが欠けてはならんのよね。実に、その積み重ねが出来る企業をまず作らんと、人は育たんし、土壌を提供せにゃならんと言う一途な思いで動いて来た。これは、自然とそうなる事は、うちらにも予測出来とった・・逆に言えば、そう成らざるを得ない沢木 純の戦略の中で、うちらは、ただ動かさせられていただけ・・親父の背中には、うちらは何世代生まれ変わっても追い着く事は出来んじゃろね・・きんどね・・その沢木 純を追いかけて行けるだけの信念が無いとあかん。美弥さんにはそれがある・・じゃきん、春水を感じた瞬間から、世に必然と言う言葉があって、これは、人間が引き寄せる不思議な感性なんよ。うちらは抗って無いだけ・・それ程崇高な使命では実は動いとらん、流れに逆らわんのよ。そして、それを継承して行くのも人じゃと言う事。親父は、その人を大事にしたんよ。分かる?美弥さん」


 とめども無い涙が美弥の眼から溢れる・・夫が思うより、美弥自身が思うより、もっともっと高い次元に、向かっている事をこの時悟ったのだ。そんな肩書きなど、むしろ不要・・そこで、ついて来れない企業は自然と去るだろう。人材も同じ事。その器になじめないものは去るしか無い訳だ。器はもっともっと大きくなれるし、自分も大きくならなくてはならないのである。

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