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目標
美弥と若菜が、静寂の杜本部に招かれたのは、それからしばらくした盛夏であった。
咽返るような都会の喧騒を離れて、静寂の杜に着いた途端、二人には山間の気候がもたらす清涼の気を感じた。それはとても、心地よいもので、何故今もなお、沢木グループの本部拠点がこの地にあるのかの意味を悟っていた。
「ようこそ・・」
とりが、笑顔で二人を出迎えた。二人を待ち受けていたのは、妻鳥夫妻、三木夫妻、佐々木食品部グループ代表、恵比寿、神部、二人の妻鳥、三木夫妻の子供たちだった。妻鳥の長男は、7歳、利発そうな元気一杯の少年、妹は4歳になったばかりだが、この子もとても利発そうな女の娘・・そして三木夫妻の一人息子、三木 優・・この招きの意味を二人は、この後知る事になる。壮大な夢をとりは、語った。しかし、語るだけでは無く、実行出来る能力を有し、それを現実にする強力なスタッフ達が沢木グループには揃って居た。
「お招き頂きまして、何故、静寂の杜がこの地で象徴的にあり、今も主基地として存在するのか肌で感じた気が致します」




