目標
「私には、分かりません・・未優さんは、何を私に求めようとされているのでしょうか?仮に、そう言う能力が私にあったとして、一体何を?」
未優が、黙って一冊のアルバムを、若菜に差し出した。
若菜はそれを手にとって、じっと眺めた。再び、若菜の両眼から止めどなく涙が毀れ落ちた。
「分かるんじゃね?若菜ちゃん・・父の思いや考え方が・・」
「はい・・沢木グループ創始者である、沢木 純さんの魂の咆哮を感じました。これ程、強い気持ちで、環境を見つめて来られたんですね?」
未優の滅多に見せない涙顔・・
「良かった・・嬉しい・・若菜ちゃんが、父と同じ感性であってくれた事・・喜んで、沢木グループにお迎えするきん、思う存分、若菜ちゃんは、MBAを取得してつか、8月から半年、沢木グループが貴女をイギリスのオックスフォード大学へ派遣します。それだけあれば、修士・・いえ、博士課程も十分でしょう。若菜ちゃんに、今の大学の教育なんて必要無い・・もう、理解しているのにテストを白紙提出なんかせんでもえんよ、若菜ちゃん。この能力は、自分を卑下したらいかんのよ。役立てるべき能力なんよ。うちはね・・若菜ちゃんに鳩以上の事は求めん・・きんど、父の行き様、執念があるとしたら、それは、うちからお願いします。このプロジェクトを大きな視点で支えてつか、お願いします」




