目標
若菜が顔を上げた。
「私が小学2年生になった時です。私の顔と、お母さんの顔、お父さんの顔は違うと思ったんです。その違いとは、学校の友達が聞き伝えに言う、私が貰いっ子じゃと言われて苛められた小学4年生の時に、はっきりしました」
「ほうなん・・1年生の時に遊んでくれた菊野さんがお母さんであると言う確信がその時出来たんじゃね?」
「はい・・学校の友達は、嘘を言う。揶揄する、先生は毎回違う事をその場限りでものを言う。でも家に帰れば、じいちゃんは大事にしてくれるし、父さんも大事にしてくれるけど、お母さんは、厳しく私に言う。でもお母さんの気持ちがずっと私には分っていた・・その中で、自分はこれは言ってはいけない事だと、ずっと閉じ込めて来たんです」
「それが・・若菜ちゃんの心因性の病気になった最大の理由じゃわね・・では、具体的に聞くきんど、空間画像認識能力と、瞬間画像認識能力の違い自体、うちには余り境の無いように思うきんど、父、沢木 純は、その両方を持っていた。うちは、確かに瞬間的に画像で見たもんを認知出来るきんど、若菜ちゃんは、それを即座に分析出来る能力も持っとると言う理解で行くと、うちの姉ちゃんには、その分析力があって、うちには、認識力と言う姉妹には二つのものが分かれて、遺伝した・・ほんな事を思うたんよな・・例えば、父が若菜ちゃんと同じ年の頃、今の若菜ちゃんと同じ事言うとった。自分の両親は実の両親じゃきんど、貰いっ子の兄は、両親が同じような愛情で育てて来たと思うきんど、その疎外感、弟に対する強い対抗心で、どんどん不良への道に入って行った。そのそれぞれの環境もあるし、美弥さんにも感じたような疎外感も何となくうちには分かる。ずっと思うとったんよ。きんど、今の若菜ちゃんを見る限り、聞いてもええ時期かなと思うて今日は時間を取って貰ったんよ。香月博士が感じたものは、多分・・父に感じたもんじゃと思うたきん」




