目標
午後からの会議では、では、具体的にどうするのかと言う質問が大半を占めた。むしろ、そう言う超長距離レースは大歓迎だ。思っても見なかった国際合同レースが出来ようとする提案には、反対では無い。更に香月が秘かに改良して来た競翔鳩の血統は、寒さに強いと言う事で、北海道に合同鳩舎を建造する目的も分かる。それに、冬場には徹底した暖房設備も整えると言う事だから、二次鳩を中心に、委託鳩舎に依頼し、夏場の既に国境を無くした、樺太、ロシア1500キロ、2000キロ、2500キロ、3000キロ、3500キロ、4000キロレースまで視野に入っている壮大なものだった。それは、日本国内のような狭窄な土地では無く、鳩達の帰還路も確保出来るコースも予測された。競翔鳩に無理を強いる訳では無い。しかし、その可能性を引き出すのは、競翔家しか無いのである。そして限定された夏場と言う条件・・香月暁号系が南米で、3000キロ、3500キロレースを経験している所から見ても、競翔鳩にはその潜在的能力があると見ても間違い無い。しかし、日本国内で、これ程帰還率が悪化している原因の一つとして、電磁場の影響が言われている。香月はそれなら、人口の少ない電磁場の飛び交う事の少ない地を選択しようと提案したのである。この場では言わなかったが、それこそ、沢木 純が生前から唱えていた案なのであった。そして、国境を鳩レースによっても無くす。更に、中国本土からの競翔や、台湾からの競翔すら視野に入れていた。




