344/399
目標
「いいえ・・若菜さんは、私の想像を超えてしまいました。ふふふ・・沢木さんと出会った頃の感覚を思いだして、私自身嬉しいです」
ためらいながら、若菜は言った。
「この子達は、つまり、極寒の空を飛ぶ為に改良されて来たんですね。それは、香月博士が香月系確立と同時に既に進められていたと?」
とり、美弥が互いの眼を見合っている。この昼食時間に、凄い会話になっていると思うからだ。
「はい・・そうです。同時に進めたのは、故沢木さんの、稚内GNレース当日帰舎を目指されたと同時に、極点レース・・つまり、白夜の競翔は、今までの鳩レースの概念を超えるものとして、同時提唱されておられました。ご存命ならば、必ず沢木さんは実行されていたと思います」
「え・・義父が?」
とりの驚きの言葉に、こくんと香月は頷いた。




