目標
「え・・何でこの素晴らしい100年先の血統を・・」
美弥が口を押さえると、香月は静かに首を振った。
「いいえ、世界各地の気象条件や、近年の電磁場の飛び交う環境変化は、予想より余りにも早く、即ち競翔を限定するこの限られた制約条件の中では、所詮、系統等と言うものは、確立された種ではありませんから、埋没も最初から想定しておりました。私の目指すものは、抗免疫力、抗環境変化に対応出来る系統群ですから、これはこれで目的を達しております。事実近年の鳥インフルエンザには、鳩群は羅感していないのです。抗生物資を与えられない原始系統種としての力を持たせるのが私の目的ですので・・そのご説明はここまでとし、若菜さん、どう言う感覚で判断されたのか、私に披露下さいませんか?これは、形態的な特徴もありますが、一見して、白川系と、香月系統の交配とは殆ど判断出来ないと思いますし、今まで即座にお答えされた方はおりませんでしたので、驚きました」
若菜は
「あの・・香月博士が、そう言う笑顔であられたら、私が、もしかして見破ると言う事を予想されていたと言う事でしょうか?」




