目標
美弥が戻って来た。
「若菜ちゃん、さっきのおじいさん知ってるの?私の掃除している鳩舎も覗かれ、又そっちに戻って話し声が聞えたけど」
「ううん?知らないけど、川滝系の特徴を良く知ってたわ。それに、かっこいいじいちゃん・・」
「そうね・・凄い身なりもきちんとされてたし・・」
そして・・その老人の向かった先とは・・
「うわあ!*香月博士!もうおいでくださってたのですか!」
とりが、オーナー室から飛び出て来た。老人は香月博士だったのだ。
*未優、環、洋司、霧島が、静寂の杜別室にすぐ集まった。
「申し訳無いです。皆さんのお手を止めてしまって」
「香月博士、何十年か振りになりますが、お変わり無く」
環が言うと、
「先ほど、沢木さんのお墓に手を合わせて来ました。皆さんには、こちらに参るその都度お会いはしていませんでしたが、1年に1度はこうしてお墓に手を合わさせて頂いております」
「そうでしたか・・」
この年85歳になる霧島は、今は悠々自適に、ここの鉱物館でたまに講演をしたり、山野草を眺めていたり、
*白い雲 閃きの中で
「ご壮健そうで・・霧島博士」
「香月博士も・・白髪姿も又見事ですね」




