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若菜の海  作者: 白木
327/399

目標

 美弥が戻って来た。


「若菜ちゃん、さっきのおじいさん知ってるの?私の掃除している鳩舎も覗かれ、又そっちに戻って話し声が聞えたけど」

「ううん?知らないけど、川滝系の特徴を良く知ってたわ。それに、かっこいいじいちゃん・・」

「そうね・・凄い身なりもきちんとされてたし・・」


 そして・・その老人の向かった先とは・・


「うわあ!*香月博士!もうおいでくださってたのですか!」


 とりが、オーナー室から飛び出て来た。老人は香月博士だったのだ。

 *未優、環、洋司、霧島が、静寂の杜別室にすぐ集まった。


「申し訳無いです。皆さんのお手を止めてしまって」

「香月博士、何十年か振りになりますが、お変わり無く」


 環が言うと、


「先ほど、沢木さんのお墓に手を合わせて来ました。皆さんには、こちらに参るその都度お会いはしていませんでしたが、1年に1度はこうしてお墓に手を合わさせて頂いております」

「そうでしたか・・」


 この年85歳になる霧島は、今は悠々自適に、ここの鉱物館でたまに講演をしたり、山野草を眺めていたり、


*白い雲 閃きの中で

「ご壮健そうで・・霧島博士」

「香月博士も・・白髪姿も又見事ですね」

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