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目標
「どなたのご指示で管理を?」
「いえ・・私がプログラムしました」
「おう、貴女が?素晴らしいですね。今掃除されて居られるこの鳩舎内は、川滝系ですね?」
「え・・」
若菜が、素人では一目では分かる筈の無い血統を見切ったこの老紳士が、只者では無い事を察知した。そして、鳩舎外に眼を向けた・・非常に優しい眼をした、清潔感溢れる品のある老紳士であった。
「手を止めさせてしまったようで、申し訳無いですね」
「あ・・いえ。この鳩舎の掃除は今終わりました。でも、何故、この鳩舎で飼育されている鳩群が、川滝系だとお分かりになったのですか?」
「ふふ・・川滝大座礼号血筋を良く知る者だからです。故川滝さん、そして、この血統群は、ここのオーナーが預けて居られますからね」
「あ・・はい。そうなんです。びっくりした・・そう言う事ですね」
若菜が理由を知り、頷くと、優しい笑顔でこの老紳士は言った。




