決意2部
未優が言うが、怒った口調では無かった。何故なら、この合同鳩舎は、とり自身と有志によるボランティアだ。つまり、私財を投じてやっている事に対して、沢木グループとして口出し出来るものでは無い。とりは大きな口を開けて笑った。この童顔のような顔。血こそ繋がっていないが、おおらかで、包容力のあるとりに、故オーナーの姿を彼女達は見るのだった。
未優は、翌日、オーナー役員会で決まった事を美弥に伝えた。
「あの・・恵比寿さんは凄い女性だと思っておりますし、私などとても太刀打ち出来ない独自の視点も、経営指針もお持ちですが、私は、未優さんに、こちらのリゾートを任せて頂き、今目いっぱいの状態です。まして、菱田春水の摸倣を、評価して頂くなんて赤面ですから」
「いや・・ほれがええんよ。美弥さんは、自分を分かっとる女性。芸術については、菱田春水と言う画家の革新性と、融合と言う姿勢もええと思う。つまり美弥さんは模倣と言うきんど、それは模倣では無いし、貴女の母、兄弟を想う心・・ほんで、若菜ちゃんにも言える。うちはな、誰よりも評価、評論は出来る人間かも知れん。きんど、親父のように、次なる発想を無限に広げる才能は無い。親父も自分には生みだす才能は無いと言うとった。きんど、無限に展開出来る発想はあると・・つまり、美弥さんは、親父タイプの芸術家になれる人じゃと思うた。ほんで、もっと言えば、菱田春水の戦略を秘めとる。恵比寿さんは、全く自分とは違う才能じゃきんど、美弥さんの事をそう感じた。ほんで、うちもそう思うとる。殻を破ぶらんね、美弥さん、今から」




