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決意2部
神部が眼を見開くと、
「はは・・こっちも因果じゃろうな・・こいつは、祖父の沢木 純の再来かと言われよる。3つで殆ど小学生・中学生の勉強は済んで、最近は、こっちの技術専門誌や、理系の専門書に興味があって、しきりに読みよるんよ」
その単車の音を聞いただけで、この微小な異音を聞き分けたと言うのか。神部は一村の所で、更にその言が確実なものである事を認識した。
「ああ、いー坊(優=いさおと読む)の言う事、びっくりするでよ、神部。ピストンリング、お前結構自分でいじっとるようなきんど、擦り減っとらい、間違い無う。ほんでホンダのこっちのピストンリングに変え?わはははあ!」
一村が笑った。
「何か、おかしいっすか?先輩」
「神部、わしゃあのう、暴ヤンのヘッドも昔やっとって、お前もそれは同じじゃきんどの、これは、ノーマルに戻せ言う意味と違うか?何でなら、このタイプのピストンリングなら、ノーマルでも性能的に上じゃ。もう旧世代の単車のエンジン組む必要も無かろが?まあ、1週間待って見い。走り具合を確かめたらええ」
「はあ・・・」




