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決意
100キロ、200キロ、300キロ・・圧倒的な分速記録で、櫂竜号は合同鳩舎の新記録を更新して行く。それは、もう老齢の域に入っていた香月の目にも入った・・真に資質を見抜ける者は、居るのである。それは芸術世界でも同じ事。その筆致を賞賛する者、理解せぬもの、天と地の違いがある。それが無くて、文化芸術の世界の発展は無かっただろうし、一般の者が無関心であろうとも、競翔と言う世界は、愛好者の中で発展して来なかったのである。見る者は、この突如と出現した鳩が、どんな英傑であるかは、一目で分かるのだ。
「ほう・・櫂竜号?・・すごい姿態をした鳩だなあ・・ん?何!ああっ!」
香月は、競翔誌を思わず手から落とすと、すぐ電話を始めた。その相手はなかなか電話に出なかったが・・
接点がまた生まれようとしていた。




