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変化
「須崎君、君は素性もここでは余り名乗っとらんようだから、何でわしが血相を変えたか説明しよう。女将、構わんかね」
「良いけど・・御免ね、須崎さん」
「いえ・・多分、自分がちょっとだけ聞いた事に関係しているのかな?と言う事を先に自分から言います。的外れでしたら、申し訳御座いません」
「言うて見い・・確かに君には直接関係無いし、わしが君を責めるのはおかど違いじゃ。それは、先に詫びとく」
「一体・・何?」
菊野女将が眉を曇らせた。
「私は実はREC食品㈱の営業マンです。根室営業所の副所長をしております」
「何!何だとう・・」
今村と円西の顔が見る見る上気した。菊野女将が驚いた。
「待って下さい。この「菊野」に通っていたのは、何の思惑もありません。純粋に心落ち着ける雰囲気が好きでしたし、敢えて自分の素性を名乗ってどうこうするお付き合いとかも、全くそれとは関係無いと思っていたからで、勿論意図なんてある筈もありません。その上で、少し話を自分の知り得る少しの情報の中で頭を整理しながら言います。言わせて下さい」




