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決意
若菜の突然の申し出に、祖父佐伯は驚いていた。
「何・・?現役を引退させた北竜号を、レースに出す?若菜・・いきなり、どうした?」
「うみは、自分の天命を燃焼出来て無い」
「何・・天命?」
佐伯には、分からない。あれ程自分の分身として大事にしていた鳩を、再び競翔に参加させる等、思わぬ若菜の言葉だった。
「うみは、もう5歳・・現在の競翔世界ではもう引退させている年齢だ。何故、そんな事を突然言うんだい?」
重ねて佐伯は若菜に聞いた。
「調べた・・5歳、6歳、7歳で、競翔鳩が活躍していた時代もあった。まして、遅咲きの南部×今西系のこの血統は、今一番力が発揮出来る歳だから」
「そう言う時代もあっただろう、しかし、うみの成績を見ても、十分種鳩として子孫を残せる鳩だ。まして若菜・・お前が一番大事にしている鳩だろう?」
「うん・・だからこそ、うみの気持ちを大事にしたいと思った」
「・・分からん・・そっちに会いに行くよ、若菜」




