成長
凄い出会いとなった。それはもはや感性と言うものである。二人の感性が共鳴した瞬間だった。これは未優の感性とも合致した。未優の狙いは、これは先が読める話では無いが、良い方向に転がったのである。悪い方向であれば、個性と個性のぶつかり合い。きっと、神部と美弥と言うそれぞれの才能は、火花を散らしただろう。未優は、自分を知っている。到底父沢木 純のようなやり方は真似も出来ないし、自らの非力も感じる遠い存在であった・・。だが・・好転に向かった事を喜ぶのであった。
そして、こちらでも・・
「若菜ちゃん、この鳩どう思うぞ?」
とりが差し出した鳩を、若菜は触診した。
若菜には、嘗て不思議な感覚を持つ由香里と同様のものをとりは、感じていた。しかし、この少女は今まで誰にも披見せず、その能力を表に出す事も無かった。
少し間を置いて・・
「凄い鳩ですね・・」
「凄いっちゃ、若菜ちゃんの感覚でどう凄いんじゃ?分からんわ」
とりが笑う。優しい眼だった。若菜は大きな包容力のあるとりの前で、初めて自己をさらけ出した。それは美弥にも披露して来なかった、彼女自身の持つ感覚である。




