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若菜の海  作者: 白木
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成長

 神部はイベント会場に繋がる道路や、イベント会場に向かう進入路、そして警備員の配置など、非常に行き届いたこのリゾート地の住民に配慮したものだが、ものものし過ぎて、窮屈だと感じると言った。イベントそのものには神部は絶賛したし、未優副オーナーがOKを出しているものに今更ながら口出し出来るものでは無いと言った。多分、自分ならこのイベントとは違う企画を提出し、それは副オーナーには恐らく認められないだろうと笑った。若者の余りに素直で、真っ直ぐな心は、美弥も神部に好感を持った。それは、沢木グループが、いかに人材を活用し、創始者から続く社風の中で、人材を育成して来たのか分かるものであった。

 美弥が神部に聞いた。


「じゃあ・・神部さんは、どう言う企画を今思い立ち提案出来ますか?参考の為に聞かせて下さい」

「いやあ・あっはっは・・参ったなあ・・」

「あちらで、ご高説をお伺いしたいわ」

「はあ・・それなら・・」


 リゾート施設内では、イベントの準備に忙しくスタッフが動いているが、海の見えるリゾートホテルの窓際の席に、二人は座った。既に長年の知己のように打ち解けて話をし合う二人だった。男女の垣根は関係無かった。

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