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若菜の海  作者: 白木
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成長

「おう・・どなんした?神部」

 

 ヤマチューは個展に出す陶器を、選び出している所であった。精悍な顔と言うより、この年代の彼は、どっしりと由香里と結婚後は落ち着いた雰囲気で、作務衣を着て中肉中背の体型は、以前と殆ど変らず、現在は顎鬚を5センチ程伸ばしていた。いかにも芸術家らしい風貌であった。


「いや・・丁度来週から神奈川リゾートに視察に行くので、今日は会議が終ってぷらっと来たんですわ」

「おう、ほうか・・まあ、ゆっくりして行けや。わしは、そう急ぐ事も無い。茶でも飲むかいの」


 ヤマチューは、和室の部屋に神部を通した。


「ところで、神奈川リゾートは誰と行くんじゃ?」

「オーナーとです。オーナーは合同鳩舎の方で会議があるそうですわ。俺は、今準備中のイベント事業を見て来い言う事で」

「ほうか。ふうん・・合同鳩舎は、現競翔界を救うたわの・・香月系も芳川さんが急死して、殆ど、そっちに移っとるらしいし・・これは、わしも協力金を出しとるが、完全にオーナーの個人事業じゃ。その辺をどう思う?神部」

「え・・神奈川リゾートはオーナーの個人事業とか言う話は、初耳ですよ・・沢木グループ本体の事業で無いんですか?」

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