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成長
「・・?私に?」
「ええ・・ちょっとこちらに来てくれる、若菜ちゃん」
穏やかな日差しの3月。美弥が案内したのは、現在管理している鳩舎であった。
「ここ・・?」
「ええ。この鳩達ね、その昔どの血統も活躍していた競翔鳩なの。合同鳩舎と言う事で競翔参加もさせてるけど、殆どは沢木グループの資金提供で成り立っているような状態。私がこちらへ引越ししてから、沢木グループとも関係するようになって進んでお手伝いをして来たの。どう?若菜ちゃん、勿論アルバイト賃は出すけど、飼育管理してくれないかしら。大学在学中の間」
「え・・」
確かに競翔鳩は好きだ。祖父の影響もある。しかし、それは趣味と言う祖父の影響と管理を自分が行っていた訳では無い。美弥は言った。
「北竜号って南部×今西系が祖先なのよね。どう?こっちに連れて来て、子孫を競翔参加させて見ない?若菜ちゃん」
「・・何故?」
戸惑いながら若菜は聞いた。余りに唐突。自分がやりたかったのは美弥と同じ仕事なのだ。




