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変化
油井にとっては、当然だ。何もせず毎日机に座っているのだから、そう取り次いだまででは無いか。その木下の顔が蒼白になる。しまったと言う顔であった。
「あの・・お電話代わりました。木下です」
そこからは、こめつきバッタのように、木下は「済みません」「承知しております」「申し訳御座いません」ぺこぺこ頭を下げるのみ。20分程そう言う状況が続き、電話の受話器を置くと、
「油井君、今から出かけて来る。明後日まで帰らないから。頼む」
「はい・・」
訳の分からぬままに油井は、戻ってきた須崎、進藤に告げると・・
「ああ!そう言えば、今日は札幌支社に北海道営業所13部門が集まり、会議をすると言う伝達が来ていたのでは?」
「はい・・そう言えば思い出しました。緊急の用事がある場合に限り、理由を提出すれば出席は免除と言う事でしたが、それを・・ああ、俺、そのまま所長が来客の無しも正直に言って、木下所長に電話繋いじゃいましたあ」
油井はしまったという顔になる。




