接点
短期間に、未優は既に美弥を見切っていた。同時に美弥の心に、この超抜な女性に憧れる気持ちも、芽生えていたのだった。何がしたいのか、何が出来るのかは、それは自分が勝手に、思うようにすれば良い。未優はそんな大胆な事を言いきった。そして、若菜の治療の側に居てやれる環境を、美弥に提供したのである。
「何・・美弥、お前沢木グループにスカウトされたって?おいおい・・何それ・・」
須崎は、眼をぱちくりした。収入は以前とは比べ物にならない。今や、片腕的存在となった屋鍋専務は、もともと持っていた経営に対する高い能力で辣腕を振るい、色々な部門に指示を出している。安藤もそうだ。君成は企画開発部門で、その才能を開花させている。黒田体制とは全く違った、NEW㈱RECは今や順風満帆な業績を上げている。その一番大きな役割が沢木グループの接点だとも分かっているが、その親会社的で、経営コンサルタントも請け負う形の沢木グループにスカウトされるとは、驚き以上の何ものでも無かった。
「私ね、未優さんに憧れてる自分が居る・・」
「・・ああ・・凄い女性だよね。ズバッと切り込む口調もそうだけど、屋鍋専務なんて、息もつかせぬ疑問符ばかりの質問を受けてたじたじだったよ。これは到底叶わねえ・・って彼は、あれ以来未優さんに対する恐怖症になっちまってる。ははは」




