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変化
そこは常連の者が入り浸るような店に見え、一斉によそ者が来店したなと言う視線が突き刺さった。しかし、女将が、
「お兄さん、何もだよ~、なんもなんも。この人らはね、漁師だけど、そんなに顔程人悪く無いからね」
「ありゃあ・・菊女将・・ひでえ、言い方だなあ・・がはは」
須崎がぷっと吹き出し、
「俺もかでてえくれますかー」
「ぷっ」
慣れない北海道弁を無理やり使った須崎に、漁師たちが笑った。
「さあ、飲め、兄さん。どっから来たんだあ?東京からか?」
「ええ、まあ・・」
漁師なら尚更の事、自分の素性を明かしてはならない。一際体の大きい漁師の今村がついでくれる酒に、地どれのカレイの煮付けを食べ
「美味い、美味いですね、女将さん」
口を一杯開けて、女将は笑った。漁師たちも笑った。




