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若菜の海  作者: 白木
191/399

氷解

「ふふ・・」


 佐伯海産㈱の事務所内から、笑い声が聞こえた。理恵が、秀一と談笑している。安定的で、好調な事業は、何時しか以前の雰囲気とは一変させていたのであった。


「親父って、鳩飼ってる方がイキイキとしてるよなあ」

「気難しい顔してて、何時も事務所座ってらしたわね。最近、良く笑い顔を見る・」


 秀一は、顔を見上げた。


「理恵・それは、君もだよね」

「え・・あら、そうかしら」

 

 秀一は笑った。


「はは・・まあ事業が好調な事と、理恵には、美弥さんと言う話し相手があって、事業もそうだけど本当に変わったよな、この一年・・」

「ええ・・」


 遠い眼を見るように理恵は答えた。そしてそれは、理恵と若菜の関係も変えていた。

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