現場
「ははあ・・面白そうじゃのう・・環、明日こっちに行こか」
「豚さんじゃね・・ふふ・・可愛い顔」
その情報が、須崎にとって、思いがけない形になるのであるが、この時期、余りにも突出した須崎のやり方に、かなり不満が出始めていた。屋鍋派の拡大によって、既に支社長同然である屋鍋に、不満が続々と来ていた。
「まあまあ・・」
屋鍋は彼らの不満を抑えながら、今は須崎を走らせた方が得策と思っていた。心の中では須崎失脚の道を既に描き始めていたし、この所栗源ともしょっちゅう意見交換をしている。彼らの情報の中では、黒田が絶対認める事の無い須崎と創業家との繋がりの事実を、掴んでいるのである。それがばれたら、即座に彼はアウトになるだろう。しかし、今はそれを暴露する時では無いと思っている。
が・・同様に、こちらも女性軍師二人がタッグを組んでいる、屋鍋派の動向や、黒田社長の動きも当然察知しているのだった。そして、それに対する打つ手もやっている。ただ、共通しているのは、今須崎を潰して、大成功するかも知れないこの事業を阻害する事はしないのが最善・・それは利害が一致しているのだった。




