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若菜の海  作者: 白木
183/399

現場

 そして、会議後、須崎は根室の自宅に戻って来る。2日後の話である。


「大変だった見たいね、会議は・・」

「ああ、何しろ、新開拓分野だし、誰もやった事の無い事業は誰しも不安だろう。しかし、全権を任すと言われている以上、俺はやると言い切ったんだ、最期にはね」

「分かるわ、それは。黒田社長その人が、自分は動かず人を動かす人だから。でも、これって拓也さんの思いのまま。絶好のチャンスよね」

「いや・・実際には、君成前社長の隠れた才能だと思っている。このレシピを見た時にぴんと来たんだよね。健太・・間島健太郎がこれ見て、絶対やりたいと言って来た。すぐに5農園が集まったよ。肉の味が違う、これはやりがいがあると言うんだ」

「ふふ・・健太朗さんて、競翔家さんでもある見たいね、何か分からないけど、不思議な連続。拓也さんは、そう言う星を持ってるんじゃ無いかしら。周囲が勝手に動いて行くと言う・・」

「そうなんだよなあ・・俺は才能も無いし、今の地位も分不相応と思っているし、何か分からんうちにどんどん動いて行く気がするよ」


 美弥はそれが、須崎拓也と言うと男が持つ不思議な才能だと思ったのである。

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