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若菜の海  作者: 白木
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競翔

 東神原連合会は健在だが、もう既に時代の波には勝てず、現在50数名の会員の競翔連合会になり、飼育血統も様変わりしている。小谷が放出したのは、それでも長く小谷スピードバードと言われて、嘗ては日本中にその名を響かせた、源流の血筋であった。多くの旧競翔仲間は現役を去り、没した中で、現在東神原連合会の会長をやっているのは、*1 矢内健二の長男、矢内大希であった。香月系は、日本各地に分散し、既に中心に飼育していた*芳川浩二は前年没した。引き継ぐ者も居なく、*2 佐野も現在、*1/2 磯川総合病院併設の、愛清会老健施設に入っている。近時代の競翔は熱く語り合った世代より、時代の変化の著しい変化に帰還率の低下に喘いでいたのである。


「時代が変わったのさあ・・」


 根室競翔連合会の若手が言った。


「最近では、携帯電話の普及やインターネットの時代になって、電磁波が飛び交う。これが競翔鳩にとって非常に悪影響を与えているんだな」


 美弥が良く耳にする言葉である。そうなのであろう。しかし、鳩競翔を愛する者達はその中から、どうやって自鳩舎の鳩達が戻って来れるのか、優秀な血を導入し、改革を怠らない。そこには、打算や妥協など一切無い純粋な強い思いだけである。


*隻眼の竜 閃きの中で

*白い雲 隻眼の竜

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