感情
「不良仲間と出歩き、バイクに乗り込む私に、その夜叔父は、真正面から向かい制止した。叔父は跳ね飛ばされ、私はやっと分かったの。その時・・叔父に叫んだ。お父さん!、お父さん!って。叔父は入院したけど、母さんが説明してくれたわ。全てを・・出来たら兄弟全員を、生活が落ち着くまで面倒見ようと叔父夫婦は申し出たって。兄弟から離された美弥を寂しい思いをさせたくないからって・でも、父、母は、必ず迎えに行きます。でも、未だ幼い美弥だけには、普通の生活をさせてやりたい。身を切り裂かせる程辛い事ですが、兄弟と切り離す責めを私達が負いますからと・・叔父夫婦は正式に私を養女として、何不自由の無い生活をさせてくれた。でも、心のどこかに本当の父や母で無い私の、見捨てられたと言う気持ちが、こんなに大事に思ってくれる叔父夫婦だけど遠ざけていたのね。やっと私はその時、家族になれたのよ」
若菜の心が融解して行く。しかし、母理恵には又別の感情が支配している。美弥は、何とかこの母子関係を修復してあげたくなった。それは自分に非常に共通する思いがあるからだ。その使命感的なものが、須崎との結婚によって彼女自身から芽生えたものであった。
美弥は、郁子夫人からも強い信頼を得るようになって行く。同時に理恵の相談相手としても強い関係を築いて行くが・・




