信頼
「だって、㈱RECの核とは、根室でしょ?佐伯海産㈱と言う大きな有力企業がここまで貴方を支えて来たし、㈱積木海産との合併話だって、その力関係のものでしょう?」
「ああ・・その通りだ。けど、北海道支社は札幌にある」
「何だ・・須崎さんは、私達の住居の都合だけでそんな事思ってるのね?北海道支社なら、屋鍋副支社長に任せたら良いのよ。むしろ、そっちの方があの方も、思う存分自分で動かせるでしょう?今じゃ携帯、タブレット、ネット会議だって可能。主力企業のある根室に支社機能を持って来るのは、当然だわ」
一理も二理もある話だった。須崎は美弥が、本社の受付嬢でこれまで過ごして来た訳だが、相当なやり手の女性だなと初めて感じた。
「凄いな・・美弥・・本社での受付嬢って業務は君の適所では無かったのでは?」
「うふふ・・私は、秘書課を希望した。けど、縁故の部署で、前原前社長の従兄弟である河合君子さんが不動の秘書だったから」
「成る程・・前社長時代には実力があっても、適材適所に人材の配置が出来て無かった訳だよね。だから組織が淀んだ」
「そうね。だから改革の旗手として、須崎さんは大手術をしようとしてるんでしょ?」




