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決断
「栄水産は、REC食品㈱の子会社になりました。そして、REC食品㈱は、REC㈱の100%子会社になります。REC食品㈱の社長は前原君成氏ですが、この株式の分配により、黒田社長の二人社長体制と今後なります。この合併話については、TOPシークレットで水面下にて動いておりましたので、既に契約済みであります。それと・・進藤所長、実しやかに風評を広げないで頂きたい。まして社内事情を他社に漏らすような事は、今後謹んで頂きたい、厳重注意とします。よろしいですか?」
「は・・はい」
ここも既に、寝返った屋鍋と、進藤の間には大きな差が出来ていた。栄水産と佐伯海産の合併話は、もう少しで契約完了する所であった。しかし、阻止すると共に、逆手に取った。完全にこれこそ前原郁子の描いた実権奪回を完全阻止したのである。これが、全て木下の描いた最期の奉公であった。彼は、平時には無気力な上司であったが、いざとなればここまで出来る男だった。




