決断
てっきり首だと思っていた屋鍋だった。しかし、これも信じられぬVターン。須崎にはまるで読めない展開。一体、この急激に次ぐ、急激な変化はどうしたのだ・・
屋鍋に後日、新体制について話し合おうと言う事になり、須崎は再び木下と支社長室で向かい合った。
「私は・・翻弄され続けております」
須崎は言った。
木下は笑った。
「何がだよ。この世は狸と狐の騙し合い。人を押しのけ、蹴落とし、会社組織に限らず何を子供みたいに言ってるんだ?君はね、もう既に上に立った人物なんだ。君の椅子を狙う者は、屋鍋君だけでは無い。どんな馬鹿なTOPであろうと、それに逆らって生きて行けないのが会社組織だ。黒田社長が馬鹿とは言わないが、自分がTOPである以上、子飼いの部下を使い、又裏切る奴を容赦しないし、玉山君のような直近の部下であろうと、冷徹に切る。つまり、最初に君がやった根室営業所の改革だってそう言う事じゃ無いか。部下を信頼するのはそりゃあ、やり方ってものもある。須崎君が少なくても黒田社長になって、信頼を得ているものの一つは、馬鹿正直で一本気な性格さ。だからこそ、それは脆い。俺は、もう今年中で退職する。役目は終ったからな」
「あの・・何か事業を?」




